一般的にはあまり怖がられることのない風疹ですが、妊婦さんにとっては非常に怖い感染症です。
妊娠中に風疹に感染すると、胎児に重大な影響をもたらす恐れがあるからです。あなたは風疹の免疫を持っているという確信がありますか?
この記事では、風疹が胎児にもたらす影響と、予防法について紹介していきます。
これから妊娠を希望している人、現在妊娠している人はぜひチェックして下さい。
妊娠初期の胎児の死亡リスクは90%
免疫を持たない妊娠初期の女性が風疹に感染すると、胎盤を通して胎児にも感染してしまうことがあります。
その場合、90%もの確率で胎児は死亡するといわれています。もし死を免れたとしても、決して少なくない確率で先天性障害を発症するのが風疹の恐ろしいところです。
母親が風疹に感染すると3分の1の確率で胎児にも感染し、さらにその3分の1が先天性風疹症候群になるとされます。
胎児へ影響する先天性風疹症候群とは
妊娠初期の胎児が風疹に感染すると、さまざまな先天性の障害を発症することがあります。
これを先天性風疹症候群と呼びます。
そのうち最も頻度の高いものは先天性の心疾患、難聴、白内障で、三大疾患と呼ばれています。
それ以外にも、網膜症、小眼症、発育遅滞や精神遅滞、糖尿病など、さまざまな疾患を発症する恐れがあります。
先天性風疹症候群が発生する確率は、感染した時点での妊娠週数が早いほど高くなります。
妊娠1か月なら50%以上、2か月なら35%、3か月なら18%、4か月なら8%くらいの確率で発症します。
妊娠20週(6か月)以降になると障害の発生確率はほぼなくなり、妊娠後期(8か月以降)には危険性がなくなるとされています。
また、感染した人のうち半分近くは無症状といわれているので、妊婦さんが無自覚のうちに胎児も感染してしまうことがあります。
風疹の予防接種は必ず妊娠前に
妊娠初期には風疹の抗体検査が行われますが、ここで抗体がないと判明しても妊娠中に予防接種を受けることはできません。
ですから、妊娠を希望する人は妊娠前に抗体の有無を検査しておくのが望ましいでしょう。
予防接種を受けてから抗体を獲得するまでには少し時間がかかるので、接種から2か月は避妊をする必要があります。
また、過去に獲得した抗体は時間の経過とともに失われている可能性があります。
過去に風疹にかかったことがあったり、予防接種を受けたことがある人でも、免疫がなくなっていると風疹にかかってしまうので注意が必要です。
パートナーも一緒に予防接種を
風疹の予防接種は、女性だけの問題ではありません。女性が気を付けていても、旦那さんが職場などから家に持ち込み感染してしまうケースもあるからです。
風疹は症状が出ないこともあり、気づかないうちにウイルスをばらまいてしまうかもしれません。
男性も他人事とは考えずにぜひ風疹の予防接種を受けに行ってください。
奥さんへの感染予防はもちろん、外出先で出会う妊婦さんに感染させてしまうリスクを減らすことができます。
まとめ
風疹は普通の成人にとっては大したことがなくても、胎児にとっては脅威となる感染症です。
一番重要なのは事前に抗体を獲得し、風疹そのものを予防することです。
もし妊娠後に抗体がないと判明した時は、医師の指示に従いながら十分に注意して生活を送ってくださいね。